寺子屋 ポテンショメータのお話しのページ

ポテンショメータ(可変抵抗器)とは?

ポテンショメータ(Potentiometer、略称:ポット)は、可変抵抗器の一種で、回転やスライドによって抵抗値を変えることができる電子部品です。一般的に、電圧の調整、信号の制御、音量調整、照明の明るさ調節、位置検出など、抵抗値を変化させることでアナログ信号を制御し、部品の動作を調整したり、検出したりするために使われています。

その名前は、英語の”Potential”(ポテンシャル、電位)と”Meter”(測定器)から派生しています。

本記事では、ポテンショメータの基本原理、特性、歴史、特性、種類など、エンジニアや技術者が知っておくべき詳細情報を提供します。

ポテンショメータの基本

ポテンショメータの基本構造は非常にシンプルです。
基盤上に固定された抵抗体と、その表面を可動端子が滑るものです。
この可動端子を「ワイパ」といい、ワイパの位置を変えることで端子間の抵抗値を変動させます。これにより、入力される信号や入力電圧を直接制御することができるため、多くの電子機器で幅広く使用されています。

ポテンショメータはアナログ信号の微調整に特に有用です。
たとえば、オーディオ機器の音量調整、操作パネルの調整つまみ、あるいはセンサ感度の調整など、多岐に渡ります。

ポテンショメータとは

ポテンショメータは、抵抗値を手動で調整できる電子部品で、一般的に三つの端子を持ちます。
中央の端子は可動端子(ワイパ)であり、回転させることによって抵抗値を変化させられます。
両端の端子は固定抵抗を形成し、ワイパの位置によって分圧比を変える仕組みです。
そのため、回路内で特定の電圧を得たり、電流を制御したりするのに使えます。

ポテンショメータは非常に多用途で、家電製品や産業機器、さらに実験装置などでも一役買っています。

ポテンショメータの原理と仕組み

ポテンショメータの原理は抵抗分圧による電圧調整に基づきます。回路内で電流が流れる際、抵抗体の両端に電圧がかかります。
ワイパが抵抗体上を移動することで、その位置に応じた分圧が得られるわけです。

例えば、抵抗体の中央にワイパが位置する場合、入力された電圧のちょうど半分が出力されます。
これにより、きめ細かな電圧調整が可能となります。
アナログ信号の微調整に最適で、特に音響機器の音量調整や電圧制御回路に多用されます。

ポテンショメータは、基本的に抵抗体、ワイパ、3本の端子の3つの主要部品から構成されています。
端子のうち2つは抵抗体片とワイパ用です。 内部では、一番外側の2つの接続端子が、抵抗体に配線されています。これは通常、巻線されており、導電性プラスチック、カーボン、サーメットといった材料で作られています。

ポテンショメータの役割と機能

ポテンショメータは、主にアナログ信号の微調整や電圧の調整に使用されます。
異なる回路要素間で調和の取れた動作を確保するために、精密な抵抗値の設定が不可欠です。

また、ポテンショメータはセンサやユーザーインターフェイスの入力デバイスとしてもよく利用されます。
たとえば、スライドポテンショメータはオーディオミキサーに、回転ポテンショメータはオーディオアンプのボリュームコントロールなどに使用されています。

他にも、ポテンショメータはワイパで機械的に位置を変化させ、その変位量と出力される電圧から対象物までの距離や寸法などを測定する変位センサとしてカメラのズームレンズの制御や工作・建設機械などのアーム操作の角度検出角にも用いられ実用的な使い方の応用範囲は広いです。

ポテンショメータの歴史

ポテンショメータの歴史は19世紀後半にさかのぼります。

初期のポテンショメータは、科学実験やテレグラフの通信機器に使用されました。1960年代には、半導体技術の発展と共に、より小型で効果的なポテンショメータが大量生産されるようになりました。

さらに近年では、ワイパの摩耗や湿気により発生する位置ズレなどアナログのポテンショメータの制御の正確性に限界も存在し、世界的にデジタル化していく中、デジタルポテンショメータICも登場し、さらなる精度と信頼性を求めるアプリケーションに対応しています。今日の電子機器では不可欠な部品の一つとなっています。

BuhinDanaのポテンショメータ(可変抵抗器)取り扱いメーカーはこちら

ポテンショメータの用途

ポテンショメータは産業用製品、家電製品など多目的に利用される電子部品であり、その用途は非常に広範です。
電子回路における電圧調整や信号制御が主な機能であり、さまざまな分野で活用されています。

ここでは、ポテンショメータの具体的な用途と実例について詳しく解説します。

ポテンショメータの用途

ポテンショメータは多岐にわたる用途で利用されるため、その汎用性が非常に高いです。

主な用途としては、「音量調整」が挙げられます。
ラジオやテレビ、音響機器のボリュームノブはまさにポテンショメータの代表的な使用例です。

また、「調光器」にも広く使われています。
これにより、照明の明るさを自由に変えることが可能です。

ゲームの「コントローラ」にも使われています。
さらに、「産業機器における位置検出」や「センサーシステム」にも活用されています。
これは工程管理やロボティクスにおいて重要な役割を果たします。エンジニアリングや製造プロセスにおいても、ポテンショメータは微妙な調整を行うための不可欠な部品です。

ポテンショメータの使用例

具体的な使用例として、「オーディオ機器」が最初に挙げられます。
ポテンショメータはオーディオアンプやミキサーの音量調整に広く使われており、その回転式またはスライダー式の操作により、ユーザーは音量を直感的に調整できます。
「家電製品」にも多く見られ、特に古いタイプのラジオやテレビのチューニングダイヤルに利用されることが一般的です。

また、「自動車産業」においても重要な役割を果たします。
例えば、車内照明の明るさ調整や座席位置の調整に使われています。

「医療機器」でも、精密なコントロールが必要な機器にポテンショメータが用いられることが多いです。
産業機器の様々な位置検出やロボットアームの制御、テンションコントロール(張力制御)などの変位センサとしての活躍も目覚ましいものがあります。

これらの使用例は、ポテンショメータの多用途性とその重要性を強調しています。

BuhinDanaのポテンショメータ(可変抵抗器)取り扱いメーカー

ポテンショメータの特性と種類

ポテンショメータはその特性と種類によって用途が広がります。
基本的な動作原理を理解することで、適切なポテンショメータを選定することが容易になります。

ここでは、ポテンショメータの特性と種類について詳しく解説します。

ポテンショメータの特性

ポテンショメータの特性として重要なのは、まず抵抗値レンジの広さです。
ポテンショメータは数オームから数メガオームまで、非常に広い範囲の抵抗値調整が可能です。

次に、回転角と抵抗値の関係、つまり直線性も重要な特性です。
高精度な用途では、この直線性が求められます。
ただし、抵抗値の変化特性は必ずしも直線型(リニア型)ではなく、A~Dの変化特性カーブがあるため、用途を考えて選ぶ必要があります。

また、耐久性や温度特性もエンジニアが注意するポイントです。摩耗や酸化によって抵抗値が変動するため、用途に応じた材質選びが必要です。
ポテンショメータは温度変化に対する耐性も問われます。
特にパワーエレクトロニクスなどの高温環境で使用される場合、温度による抵抗値の変動を最小限に抑えることが不可欠です。

ポテンショメータの種類

ポテンショメータにはアナログとデジタル方式の2つのタイプがあります。

アナログポテンショメータは、その基本的な機構として抵抗体上をワイパが物理的に移動することによって抵抗値を変化させ出力を制御するものが多く、細長い板状の部品に直線的に印刷された抵抗素子上をワイパが直線的に動くことにより制御するリニアポテンショメータと円形の板状部品に印刷された抵抗素子にワイパを回転させて制御するロータリーポテンショメータが一般的です。
アナログポテンショメータには物理的なスイッチが内蔵されているものもあります。

リニアポテンショメータはスライダーを移動させることで抵抗値を調整します。音声機器のフェーダーなどで見られます。

ロータリーポテンショメータは軸を回転させることで抵抗値を変更するタイプで、単回転(1回転)型や細かい調整が必要な場合に使用される多回転型などがあり音量調整ノブなどに多く使われます。

近年では、劣化部品を減らし、長寿命ニーズにこたえるためにコイル型や光学式などの「非接触型」のポテンショメータ開発がさかんですがその中でもデジタルポテンショメータが民生用に一般的によく使われています。

デジタルポテンショメータは、アナログのトリマーやボリュームのワイパをマイコンなどのデジタル信号によって設定する部品です。
全体としてひとつのICとして構成されており、外観もICそのもので形状が小さく複数の可変抵抗を内蔵しているものもあります。
可変に際して機械的な動作や摺動部が無いので摺動ノイズの発生がなく、機械式のポテンショメータのように動くとワイパ位置が変わってしまうというようなこともなく、衝撃や振動に強く、長寿命で信頼性が高いという利点があります。

BuhinDanaのポテンショメータ(可変抵抗器)取り扱いメーカー

ポテンショメータの選び方

ポテンショメータを選ぶ際には、目的や用途に応じていくつかの重要な要素を考慮する必要があります。
適切なポテンショメータを選定することで、性能を最大限に引き出し、安定した動作を確保することができます。以下のポイントに基づいて選定プロセスを進めます。

抵抗値の選定

ポテンショメータを選ぶ際、最初に考慮すべきポイントは抵抗値です。
用途に応じて適切な抵抗値を選定することが重要です。
例えば、オーディオ機器で使用する場合は、10kΩや100kΩが一般的ですが、精密機器ではさらに高い抵抗値が求められることがあります。
抵抗値の範囲は、回路設計における負荷や電圧降下の最適化を考慮して決定されます。

また、正確な制御が求められる場面では、抵抗値の誤差や温度依存性を考慮に入れることが必要です。選定の際はデータシートを参照し、抵抗値の許容差も確認することが大切です。

タイプ(調整特性)の選定

ポテンショメータの選定において、抵抗の調整特性も重要なポイントです。
一般的には「線形」と「対数」の二種類があり、それぞれ異なる用途で使用されます。

線形タイプは、回転角度と抵抗値が直線的に変化するため、位置センサやフェーダーなどの用途に適しています。

一方、対数タイプは抵抗値が対数的に変化し、音響機器のボリュームコントロールなどに適しています。

用途に応じてどちらの特性が適しているかを判断することが求められます。
この選定によって、回路の性能や操作感にも大きな影響を与えるため慎重に選ぶ必要があります。

パワーレーティングの確認

ポテンショメータを安全かつ効果的に使用するためには、パワーレーティング(最大許容電力)の確認も欠かせません。

パワーレーティングは、ポテンショメータがどれだけの電力を安全に処理できるかを示します。例えば、パワーアンプの音量調整に使用する場合、大電流が流れるため、定格電力が高いポテンショメータを選ぶ必要があります。

一般的な電子機器では0.25Wから2W程度のものが多く使われます。選定する際には、使用環境や期待寿命も考慮し、適切なパワーレーティングを持つ製品を選びましょう。

取付方法の確認とパケージの選定

ポテンショメータの取付方法やパッケージの選定も大切です。

取付方法には、パネルマウント型、スルーホール型、表面実装型(SMD)などがあります。
用途や機器の設計に最も適した取付方法を選ぶことが肝心です。
例えば、ユーザーが頻繁に操作する部分にはパネルマウント型が適しています。

一方、製品の内部で使われるものにはスルーホール型やSMDが向いています。
さらに、物理的なサイズや形状も考慮する必要があります。
適切なパッケージを選ぶことで、装置の性能や作業効率の向上が期待できます。

BuhinDanaのポテンショメータ(可変抵抗器)取り扱いメーカー

ポテンショメータのよくある質問

ポテンショメータについてのよくある質問は、多岐にわたります。
ここでは、ポテンショメータのタイプ、抵抗定格と仕様、レオスタットとの違い、回転エンコーダとの違い、ならびに関連する用語と記号について詳述します。

ポテンショメータのタイプについて

ポテンショメータには主に「回転型」、「スライダー型」、「トリマー型」の三つのタイプがあります。

回転型は、音量調節ノブのように軸を回転させて抵抗値を調整します。

スライダー型は、直線的なスライダーを上下または前後に動かして調整します。

トリマー型は、小型サイズでプリセット調整に使われることが一般的です。

選ぶ際には用途やスペースに応じて適切なタイプを選定することが重要です。また、それぞれのタイプには独自の特性があるため、選定前に詳細を確認することが推奨されます。

ポテンショメータのサブタイプ

アナログポテンショメータには、リニアおよびロータリーの両方のさまざまなサブタイプがあります。

・プリセットとトリマー: 小型のドライバーで調整されたボードマウント型デバイスで、回路のチューニングとキャリブレーションに使用されます。

・デュアル・ギャング: 2つのチャネルの並列設定を可能にする同じシャフトに組み合わされた2つのポテンショメータです。

・サーボ・ポット: ポテンショメータが入力パルスに対応する位置を示すまで、モータを回転させるために印加されるパルスを測定することで位置を感知できる回転シャフト(モーター)に取り付けられたポテンショメータ。

・サムホイール: 触覚エッジの回転ホイールを使用して、指先でデバイスを調整可能、音量や輝度の調整に使用されます。

その他にもいくつかのサブタイプがあります。

ポテンショメータの抵抗定格と仕様

ポテンショメータを選ぶ際には、抵抗定格や電力定格を確認することが重要です。
抵抗定格とは、ポテンショメータが提供する最大抵抗値のことです。例えば、1kΩ、10kΩ、100kΩなどがあります。
電力定格はポテンショメータが耐えられる最大電力を示し、一般的にWatts(W)で表されます。

さらに、耐電圧や温度係数も重要な仕様です。
温度係数が低いほど、温度変動による抵抗値の変動が少なくなります。
具体的な用途や回路条件に適した仕様を選ぶことで、長寿命かつ安定した性能が得られます。

ポテンショメータとレオスタットの違い

ポテンショメータとレオスタットは、いずれも可変抵抗器ですが、役割と用途が異なります。

ポテンショメータは三つの端子を持ち、そのうちの二つ端子を使って電圧分圧に利用されます。

これに対して、レオスタットは二つの端子を使い、主に電流制限に使用されます。

ポテンショメータは細かい調整が可能で、音量調整などの用途に適しています。
一方、レオスタットは単純な抵抗調整を行い、電熱ヒーターやモータの速度調整に使われます。用途に応じた適切な可変抵抗器を選定することが重要です。

ポテンショメータと回転エンコーダの違い

ポテンショメータと回転エンコーダは、いずれも回転位置を検出するデバイスですが、その役割と動作原理は異なります。

ポテンショメータはアナログデバイスで、電圧の変化を抵抗の変化として出力します。

一方、ロータリーエンコーダはデジタルデバイスで、回転位置や角度をデジタル信号に変換して出力します。

このため、ポテンショメータはアナログ信号処理が求められる場面で使われ、回転エンコーダはデジタル制御システムに適しています。
精度や分解能も回転エンコーダの方が高いことが多いです。

ポテンショメータに関連する用語と記号

ポテンショメータに関連する基本的な用語には、「端子」、「スライダー」、「トリミング」、「線形」、「対数」などがあります。

端子は、ポテンショメータの電気接続部分を指し、スライダーは抵抗値を調整するための可動部分です。「トリミング」とは、小型ポテンショメータを使って回路の微調整を行うことを指します。また、「線形」と「対数」は、スライダーの位置と抵抗値の変化関係を示し、線形は直線的、対数は非直線的な変化をします。

記号としては、一般的に「POT」と略されることが多いです。

ポテンショメータのメーカー

ポテンショメータは可変抵抗器と言い換えることができます。
メーカーによっては可変抵抗器やボリュームとして販売されています。

以下販売メーカー一覧です。
・アルプスアルパイン株式会社(ALPSALPINE)
・東京コスモス電機株式会社
・株式会社ビー・アンド・プラス
・株式会社緑測器
・株式会社シーユーアイ・ジャパン
・サンテスト株式会社
・日本ハネウェル株式会社
・株式会社中村電機製作所
・ニデック株式会社
・栄通信工業株式会社
・エルメック電子工業株式会社
・株式会社日本抵抗器製作所
など

BuhinDanaのポテンショメータ(可変抵抗器)取り扱いメーカー

 

各種製品の在庫対応、お取り寄せのご要望はBuhinDanaにご相談ください。

BuhinDanaではできる限りお客様のご要望の納期にお応えすべく広く製品在庫を展開しております。BuhinDanaの在庫にない製品の在庫対応のご要望がございましたら気軽にご相談ください。

   

注意事項 及び 免責事項

上記の各種情報はあくまでも参考情報です。
個々の情報については保証するものではありません。
また、BuhinDanaでは 上記参考情報に基づきお客様がのご望される仕様の製品のお見積り・ご注文に対応できない場合がありますので、予めご了承ください。